あらゆるものが値上がりするのに、賃金は上がらず、生活は厳しいまま。そんな状況の中、できるだけ生活費を切り詰めて、貯金を頑張る人も多いだろう。しかし一方で、貯金は諦め、日々の生活を充実させることを優先する独身たちもいる。将来の不安に備えるよりも、今を楽しむことを優先する──。貯金を諦めた独身者たちのリアルな声に迫った。
広告関連企業に勤務するAさん(30代女性)は、都内で一人暮らし中。以前は毎月少しでもいいから貯金をするように心がけていたが、ここ最近は「まったく考えなくなった」という。
「きっかけはコロナ禍ですね。世界を揺るがすような出来事が起きて、何もかもがリセットされてしまう可能性があると思ったら、お金を貯めていてもあまり意味がないんじゃないかと思うようになりました。自分がいつ大きな病気にかかるかも分からないし、自由に遊べなくなる世の中がくるかもしれない。我慢して貯金をするくらいなら、“遊べる時に遊んでおいたほうがいい”と考えるようになりました」
Aさんの趣味は、一人旅。新型コロナウイルスの感染が広がっていた時期は、なかなか旅行に行けずストレスも溜まっていたが、昨年あたりから国内中心に、暇を見つけては旅をしている。
「給料から生活費を除いたお金は、ほとんど旅行代。豪華な旅館に泊まったり、豪華なディナーを楽しんだりもします。コロナ禍は旅行に行けなかったので、今はその反動で余計に“遊びたい欲”が高まったというのもあります。
ちなみに、貯金の残高は毎月の給料日前に10万円くらい残っているかどうかという感じ。たまにゼロに近づくこともありますが、そういう時だけ節約を意識しますね」(Aさん)