生活に困ったら実家に変えればいいという“保険”
都内のマンションに一人暮らし中の会社員・Bさん(40代男性)もまた、貯金を諦めた1人だ。
「単純に給料が多くないので、なかなかお金が貯まらないという事情もあります。でも、ただでさえ仕事でストレスを抱えているなかで、節約のために日々の生活を切り詰めるのは耐えられない、というのも本音です。ストレスで病むくらいなら、好きなようにお金を使って遊んだほうがいい。パチンコや競馬もします。借金だけはしないように心がけていますが、お金はあるだけ使ってしまいます」
そんなBさんだが、一人暮らしのマンションから電車で15分ほどの場所に実家があり、そこで両親が暮らしている。
「生活に困ったら実家に帰ればいいという“保険”があるから、遊んでいられるというのはあるかもしれません。しかも私は1人っ子。何歳になっても、親はある程度甘やかしてくれる部分もあります。実家は“持ち家”なので、老後の住む場所は確保できているし、両親の遺産もゼロではない。もう結婚をする気もないし、私がお金を貯めたところで、私が死んだら無駄になるだけです。自分1人のために、楽しみながら生きていくだけです」(Bさん)
推し活で後悔したくない
趣味を全力で楽しむのと引き換えに、貯金をしないという人も。都内の自営業・Cさん(30代男性)はこう話す。
「中学生頃から、女性アイドルや声優が好きで応援しています。とあるグループを長年追いかけていて、自由にできるお金のほとんどは、ライブのチケットやCD、グッズ、あとは地方のライブに行くときの遠征費などに使っています」
いわゆる“推し活”にお金を使っているCさん。“有り金のほとんどを投入する”というスタイルになったのは、ある出来事がきっかけだという。
「以前、推していたメンバーが引退した時、私はまだ学生であまりお金もなく、最後のコンサートにも行けなくて、それがずっと後悔として残っているんです。だから、自分でお金を稼げるようになってからは、絶対に後悔しないように徹底的に応援すると決めて、“貯金よりも推し活”というスタイルになりました。
もちろん、ずっと活動をし続けてくれればいいんですが、多くの女性アイドルはいつか卒業したり、引退したりするもの。“推し”にお金を使える機会があるということは幸せなことで、その幸せを最大限に謳歌するだけです」(Cさん)
今回紹介した3人はいずれも「日々の生活は充実している」と話す。今手許にあるお金を、将来のために貯金するか、今を充実させるために使うか、人によって判断はわかれるのかもしれない。(了)