前出の若山氏は、マイナ保険証の管理方法に関する政府の対応の遅さに苦言を呈す。
「現状、うちの施設では入居者から預かった健康保険証などは個人ごとのファイルに入れて、鍵付きのロッカーに保管しています。マイナカードと一体化したマイナ保険証は、税金などの情報にも紐付いているケースもあります。従来の保管方法でいいのか、そこも悩みどころです。政府は早い段階で、管理方法などのマニュアルを作ってほしいですね。そうでないとこちらとしては身動きが取れない」
マイナポイントやテレビCMなど、マイナンバーカードを普及させるため、総務省が実施した事業の予算は2兆円を超えるとされる。そうやって便利さばかりを喧伝し、手間がかかる部分については現場任せ――。マイナ保険証完全移行のタイムリミットが迫るなか、政府はどれだけ現場に寄り添う対応をするつもりなのか。(了)