図表16のチャートはドル円とNASDAQ100のチャートを重ねたものです。左側を見ると連動して動いている時期もありますが、右側の値動きは逆相関しています。
こういうときには、ドル円をロングしようとする際は必ず株価チャートを確認して、NASDAQ100が上がりだしたらロングは手控えるといった姿勢で臨みましょう。
連動性を活用したトレードも保守的に活用することが重要で、エントリーしてはいけない理由がないか、あるいは早めに決済しなければならない理由がないかを確認するために使います。NASDAQ100が上がっているというだけの理由で、ドル円をロングするようなことをしてはいけないということです。
相場は季節のように循環している
マクロ経済を把握しようとするときにもうひとつ意識したいのは、相場の循環です。
景気循環という用語はよく知られていますが、景気だけでなく金利や株価も一緒に一定の方向で循環しています。まるで季節のように春から夏、そして秋を経て冬を迎えます。春から夏を飛び越えて、秋に至るようなことは原則ありません。
どんなに景気が悪く、株価が下がっている厳しい冬の時期があっても、永遠に景気が後退し続けたり株価が下落し続けたりすることもないのです。中央銀行が政策金利を下げ、量的緩和を実施するなどしていくことで少しずつ株価や景況感は改善し、いずれ底を打ち、春を迎えます。先進国の景気や株価が回復していくと新興国も後に続き、市場が決める長期金利も上昇に転じます。その後、株価がピークを迎え、景況感も高い水準が続く夏真っ盛りの時期がやってきます。
好景気と株高を謳歌する夏もやはり、永遠に続くことはありません。こうした状態を放っておけばバブルになりかねないので、中央銀行は金利を上げたり量的緩和を縮小したりするなどして市場をクールダウンさせようとします。そしていずれ株価は天井を打ち、景況感は減速する秋が訪れます。
金融市場はこのように、季節が移ろうように循環しているので、トレーダーは常に今、自分がどの季節にいるのかを確認し、次に訪れる新しい季節へと備えておく必要があります。
手前みそにはなりますが、NOBU塾のYouTube動画はこうした金融市場が今どの季節にいるのか、季節の変わり目のサインがどこかに出ていないかということを視聴者に把握してもらうことを意識して作っています。
為替や金利、株価だけでなく金や原油、小麦価格や銅価格など少々マニアックな相場までチェックして紹介していますが、これはこうした情報を確認する必要があるというわけではなく、季節感を確認するための材料としてご紹介しています。
相場で生き残っていくためには、こうした大きな流れを意識して、うまく乗りこなす必要があります。川上に向かって泳いでも疲れるだけで進み続けることは難しいですが、これはトレーダーでも同じです。
大河の流れの方向を把握して、そこに乗っていくほうが明らかに有利にトレードができるのです。