経済指標にはさまざまなものがあるが、日本株の先行指標として注目されるのが景気ウォッチャー調査だ。毎月発表され、業種ごとの景況感が、現場の声というかたちで収められている。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第51回は、「景気ウォッチャー調査」について。
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世界の景気動向が注目される中、とかくアメリカの経済指標に意識が向かいがちです。この連載でも雇用統計、CPIを紹介しました。これらの経済指標は、発表された瞬間に世界中で報道され、為替、株、債券などあらゆるマーケットに瞬時に影響をおよぼします。
今回は、そうした重要指標ほど直接的な影響があるわけではないものの、日本株の先行指標としては非常に有効なソフトデータを紹介します。
景気に敏感な現場の声を吸い上げた調査
景気の“気”は気持ちの“気”ですから、景気の先行きは、じつはわたしたちの気分次第とも言えます。その“気分”をアンケート調査し、数値化したのが景気ウォッチャー調査です。
【景気ウォッチャー調査概要】
発表元:内閣府
発表時期:毎月10日前後(調査期間は毎月25日から月末)
調査内容:北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の12地域を対象に、百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析。
特徴:現況を示す現状判断DI、2~3ヵ月先の見通しを示す先行き判断DIを発表。とくに先行き判断DIは、株価の先行指標として投資家からの注目度が高い
ポイント:DIの数値は50が横ばいを表し、これを上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」を表す。
直近7月11日に発表された6月末調査の結果を分析してみましょう。