S&P500は2022年4月来の高値を更新するなど、米国相場の好調が続いている。そうした中、7月12日に発表された米国のCPI(消費者物価指数)について、「深い意味がある」と読み解くのは個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんだ。森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが、7月に発表されたCPI後の米国相場の見通しを解説する。
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7月12日、米国のCPI(消費者物価指数)の発表がありました。私はこのCPIには深い意味があるのではないかと感じています。今回は7月発表のCPIについて、3つの観点から分析していきます。
【1】CPIの鈍化が続いている
まず、今回のCPIは総合指数(前年同月比)で+3.0%となりました。この結果は、前回の結果と事前の予想を大きく下回りました。特に注目されたのは、前回発表のCPIからの鈍化傾向です。2022年7月発表のCPIが+9.1%だったことを考えると、12ヶ月連続の鈍化となり、3%割れの水準に近づいています。
また、食品とエネルギーを除いたコア指数(前年同月比)も+4.8%となりました。これまで高止まりが懸念されていたコア指数ですが、前月比で0.5%鈍化し、2022年10月以来最大の下げ幅となり、5%の大台も割り込んでいます。
【2】金融政策の不確実性の低下
インフレ率の低下に伴い、金融政策の“不確実性”も減少しています。インフレ率が低下すると、FRB(連邦準備制度理事会)の政策における金融引き締めの必要性が低くなります。インフレ率が2%の目標に近づけば、残りの利上げの回数も明確になります。
今後、よほどのインフレ上昇がない限り、追加の引き締めは予想されにくいでしょう。実際、アメリカのオプションに対するボラティリティを示すVIX指数が低位で安定しており、金融引き締めに関する不確実性が低下していることがわかります。