閉じる ×
森口亮「まるわかり市況分析」

7月発表の「米CPI」数値が持つ深い意味 インフレ鈍化の傾向顕著で株式市場への期待感高まる

【3】今後のCPIはさらに下がる可能性

 インフレ率の低下は今後も続く可能性があります。CPI発表の翌日(7月13日)には、生産者物価指数(PPI)が発表され、前年同月比で0.1%の上昇となりました。PPIはCPIよりも先行性がある指標として知られており、今後のCPIの動向を予測する上で重要な指標です。また、そのさらに先行性がある指標である輸入物価指数が翌々日(7月14日)に発表され、前年同月比で▲6.1%とマイナス幅が拡大しています。CPIに対して先行性があるこれら2つの発表を見れば、これからもCPIが継続的に低下していく可能性が高いと考えられます。つまり、金融引き締めに対する不確実性がさらに低下し、株式市場への期待が強くなることが想定できるということです。

 ただし、調整局面を迎える可能性がないわけではありません。まず、季節性(アノマリー)に関して、米国株式市場では8月から10月にかけて、月別リターンが他の月に比べて明らかに低い傾向があります。

 また、ここまでの上昇相場にはかなりの偏りがありました。巨大テック企業などの一握りの株式が買われたことにより、ナスダック100について、指数に対して4.5%以上の影響力を持つ株に対するリバランスが行われるという報道もありました。

 インフレが収束し、金融政策の不確実性が減少することで、これまで出遅れていた他の株式への買いが増える可能性は十分にありますが、先述した指数に対するリバランスや、一時的なアンワインド(ポジション解消)によりBIG7と呼ばれる巨大テック企業が調整局面に入るシナリオも考慮しておくべきです。

 とはいえ、そこまでネガティブな材料ではないため、長期的に上昇トレンドが維持される可能性をメインストーリーとするならば、絶好の押し目の機会となるかもしれません。

 米国株式市場のボトルネックであったインフレ鈍化は、株式市場にどんな変化をもたらしていくのでしょうか。歴史に残るインフレ率と急速な利上げの直後だけに、年後半もマーケットからは目が離せなさそうです。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。