目安は70代、具体的な備えの検討を
「見守り契約」「任意代理契約」「任意後見契約」、いずれも基本的には本人が選んだ成人であれば、姪や甥などの親族や弁護士や司法書士、行政書士などの専門家、NPO法人や社会福祉法人などに依頼することもできる。
ポイントとなるのは、これらの契約は契約書を締結してすぐにはじまるわけではないということ。「見守り契約」と「任意代理契約」は、見守りや財産管理などを行ってもらいたい意思を契約相手に伝えたときから契約がスタートする。事前に契約だけを結んでおくことで、備えることができるのだ。
そのため、契約しても、契約を使わずに亡くなる人もいるそう。いわば、「保険に近いイメージ」(明石さん)。
「言い換えれば、契約さえしていればすぐにサポートに入れるけれど、契約がなければ、第三者は手出しができないということです。これらの契約も公正証書で作りますので、判断能力が微妙になると契約を結ぶことが難しくなります。健康状態には個人差がありますが、80歳になる前、70歳を超えたら具体的な検討をはじめてほしいと思います」
3つの契約が与えてくれるのは、「頼れる人がいる」という安心感。それは、おひとりさまにとってとても大きな存在となることは間違いないだろう。
【プロフィール】
明石久美(あかし・ひさみ)/明石シニアコンサルティング代表。明石行政書士事務所代表、相続・終活コンサルタント、特定行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP/1級)。長く相続業務に携わり、終活の知識も豊富で、相談業務のほか、雑誌・週刊誌、新聞などメディア出演、講演会など幅広く活躍。著書に『障がいのある子が「親亡き後」に困らないために今できること』(PHP研究所)、『読んで使えるあなたのエンディングノート』(水王舎)など。https://www.gyosyo-office.jp
取材・文/鈴木靖子