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【トラブル続出】「おひとりさま」が亡くなると親族に大きな負担も 事後処理に備える「死後事務委任契約」とは

「死後事務委任契約」を専門家と契約しておけば、こうした事務処理をすべてきれいにおこなってもらえる。でも、逆に契約してなかったおひとりさまの場合、どうなるのか?

「『財産』に関しては、たとえば家賃を回収して部屋を空けてもらいたい大家さんなど、利害関係のある人が家庭裁判所に申し立て、選ばれた相続財産管理人が相続財産や相続人を調査し、債権者への支払などをおこなったあと、残りを国へ帰属させます。しかし、死後事務委任契約の内容すべてを相続財産管理人がおこなえるわけではないため、おこなえなかった手続きに関しては、関係する人たちに迷惑をかけることになります」

おひとりさまは遺言書を残すべき

 明石さんによると、死後事務委任契約が必要なのは、「親族がいるけれど頼れない人」と「親族がいない人」。一方で、「頼れる親族がいようといまいと、おひとりさまは遺言書もあわせて作成しておくべき」だと強調する。

「先ほどのケースのように、死後事務委任契約がなければこまごまとした手続きはおこなってもらえませんが、『財産をどうしたいのか』については遺言書を書いておかなければなりません。つまり、一方のみでは死後の手続きすべてを終わらせることができませんし、かかった費用の精算をどうするかといった問題もあります」

 遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を決めなければならない。子どもがいないおひとりさまで、両親が亡くなっている場合は、きょうだい(きょうだいが亡くなっていたら、その子どもたちである姪や甥)が相続人となる。

 かりに、相続人が姉と亡き兄の子(姪)の場合、亡くなった本人、父、母、亡き兄の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本を取得して、本人に子どもがいない、異父母きょうだいはいない、亡き兄の子は姪のみと証明しなければならない。素人には気が遠くなる作業だ。

 そして、なんとか相続人が確定したら、ようやく財産相続についての話し合いがもたれるが、たとえば姉が高齢で認知症となれば後見人をつけなければない、ということになってしまう。

「遺言書があれば、戸籍謄本の取得は必要にせよ、スムーズに残したい人のところへ財産がわたります。本人は『何とかなる』と思っていても、『遺言書さえ書いておいてくれれば』といった言葉はよく聞きます。とはいえ、実際には不備のある遺言書が多いため、専門家に相談したうえで作成したほうがよいと思います」

 終活の目的は人それぞれだろうが、忘れてはいけない目的の一つが「残された人が困らないため」だということ。遺言も認知症になってしまうと、意思能力がないとみなされ作ることはできないし、作成された遺言書も無効となってしまう可能性もあるという。

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