あまりにも時代遅れ
すでに世界ではエストニアやインドなど多くの国が国民とデジタル的につながるシステムを作り上げて行政サービスに活用している。つまり、世界にもう「答え」はあるのだから、今の泥縄式はやめて、それらのシステムをそっくりそのまま持ってくればよい。
たとえば、私が本連載で何度も提案しているように、インドの国民DB「アドハー」を作ったIT大手インフォシスの創業メンバーの1人で元共同会長のナンダン・ニレカニ氏を招聘し、同様のシステムを導入してはどうか。彼は国民13億人分の顔・指紋・虹彩などの生体認証付きDBを3年で作り上げたから、人口1億2500万人の日本なら1年で完成させるだろう。
今になって政府は、認知症の人などには暗証番号を設定しなくてもカードの交付を可能にするとか、カードを持たない人に発行される健康保険証の「資格確認書」を申請がなくても交付する「プッシュ型」を検討するとか言っている。だが、そういう場当たり的な小手先の対応でごまかすのではなく、とにかく複数の生体認証を使用すべきであり、それが世界の常識なのだ。
政府はカードの券面デザインを2026年からの更新に合わせて変更するそうだが、現在の券面を見れば、このカードがいかに時代遅れか、よくわかる。
まず、氏名や住所にローマ字表記がなく、せっかく入っている「臓器提供意思」も日本語でしか書かれていない。これではマイナンバーカードを海外に持っていってもIDカードとして通用しない。
さらに、マイナンバーカードの生年月日は元号で有効期限は西暦という整合性のなさだ。ちなみに、運転免許証もローマ字表記はなく(国際運転免許証は別途、取得が必要)、有効期限は西暦と元号の併記だが、生年月日や免許取得年月日は元号である。皇室行事などには元号を用いればよいが、公的な証明書や公文書は西暦に統一すべきだと思う。