今年上半期は日本株の上昇相場で賑わい、新興銘柄からはテンバガー(10倍株)を超えるような急騰銘柄も登場したが、その後の急落も市場の注目を集めた。上昇相場に乗って投資した後に暴落してしまう、天井掴みをどのように避ければよいのか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が株価上昇から急落した3銘柄を取り上げながら解説する。
日本株の上昇相場、半年で10倍超えの銘柄も
上半期が終わり、振り返ってみたら日本株は先進諸外国と比べても好材料に恵まれ、日経平均株価は33年ぶりの高値を記録し、海外勢を中心に「買いが買いを呼ぶ」展開を演じた。相場上昇を牽引したのは大型銘柄であった。これはバフェットの商社株買い効果、円安が外需銘柄を後押ししたことなどが原因であったと考えられる。
その一方で新興銘柄の多い東証グロース市場では元気のない日々が続いた。しかしながら新興銘柄を個別に見ると、ソシオネクスト(6526)は年始に5360円の安値から6月には5.3倍となる2万8330円の株価に到達。プログリット(9560)は1月の235円の安値から6月に2499円と半年で10.6倍と「テンバガー」(10倍株)を実現した。Abalance(3856)は、1月の2265円の安値から5月には1万3620円と、約6倍となった。しかしこれらの銘柄は、天井を付けてからの急落ぶりも激しく、上昇波動の初動に乗れなかった投資家は高値掴みとなり、大損害を受けたという報告も見受けられる。
急騰して一躍人気化する銘柄は、これからも株式市場で多く出現するだろう。しかしこうした銘柄は“諸刃の剣”で、エントリーのタイミング次第では、急落の大被害もつきものなのだ。投資歴25年目を迎える私は、このような短期急騰の恩恵を受けたことも少なからずあるが、天井掴みでの大損害を受けたことは幸いなことに皆無である。
今回は、上記3銘柄を考察したうえで、あらためて天井掴みを避ける銘柄選択方法について解説したい。
まずは、前述したソシオネクスト、プログリット、Abalanceについてどのように分析していたかを振り返っていく。