丸山:いまはこんなに節約家なのに?
紫苑:意外でしょ? でも、バブルをど真ん中で経験してきた私たちの世代は、景気が悪くなるなんて思いもしなかったし、「お金が足りなくなるかもしれない」という感覚に乏しいんです。特に私は着物が大好きで、入れあげていたと言ってもいい。いくら散財してきたか……。60代で家を買ったことでやっといまの生活に落ち着きました。丸山さんはどうやって節約に目覚めたんですか?
丸山:私も「家」がきっかけです。21才のときに「自分の家が欲しい」と思って住宅展示場に行ったら「1000万円頭金があれば購入できる」と言われて、若くて純粋だったから「1000万円あればあんなに素敵な家が手に入るのか」と思って『1000万円貯まる家計術』というズバリそのままのタイトルの本を買って読んでみたら、そこには私より所得が少ないのに、貯蓄できている事例がたくさん載っていたんです。
紫苑:何ともストレートなタイトル(笑い)。だけど人生を変えた一冊ですね。
丸山:はい。スーパーの雑誌コーナーに売っていたんですが、そのときの光景はいまでも覚えています。読んでみて、「自分は言い訳をしていたからお金が貯まらなかったんだ」と自覚できました。すぐに貯蓄術を実践して26才でマイホームを買うことができたから、あのとき住宅展示場に行って、本を買って本当によかったと思っています。
紫苑:私も20代で気づいてたら、いま頃億万長者だったかもしれない(笑い)。けれど実際には70才近くなってからでも変われたし、節約は励むほどに新しい自分が見つかる奥深い行為。何才から始めても遅くないということは、胸を張って言える。
丸山:読者のみなさんには、いちばん若い、今日から始めてほしいですね!
(了。前編から読む)
【プロフィール】
紫苑(しおん)さん/1951年生まれ。新聞社勤務を経てフリーライターに。2020年3月、コロナ禍の中「月5万円年金生活」を実行。健康的でおいしい節約レシピやおしゃれなDIYなど、お金を使わずに楽しめる方法を紹介したブログが大反響。著書に『72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』(マガジンハウス)など。
丸山晴美(まるやま・はるみ)さん/1974年生まれ。21才で節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられる。その後、コンビニ店長などを経て節約アドバイザーに。ファイナンシャルプランナーや消費生活アドバイザーなどの資格、調理師免許を持ち、人生設計を見据えたお金の管理運用や節約術をアドバイス。テレビやラジオ、雑誌などでも活動している。
写真/本人提供
※女性セブン2023年8月3日号