バッテリーEV(BEV)は、片道100km以内の通勤やショッピングなどでのシティコミューターとしての役割がある。使用後には自宅に備え付けた充電器で満充電にするのが基本だ。ではBEVでロングドライブをしたらどうなるか。連載「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、自動車ライター・佐藤篤司氏が「BEVロングドライブ」レポート、第1弾の「日産・アリア」に続いて、第2弾として「ホンダe」での長距離取材を敢行した。
シティコミューターがロングドライブしたらどうなるか
日産アリアでの広島取材から戻り、その数日後には価格495万円~、の「ホンダe」で東京から300km少々の新潟市へ。ホンダeのバッテリー容量は35.5kWhで、一充電あたりの走行距離は259km。走行距離もバッテリー容量もアリアB6のほぼ半分というクルマですが、カタログスペックで見れば、新潟まで1回の充電で問題なく到着できるはずです。このルートは中間地点に三国峠(三国トンネル)がありますが、スタートもゴールもほぼ標高も同じ、つまり位置エネルギーの差がなく、こうした燃費やロングドライブでの使い勝手などのチェックには重宝するルートです。通常であれば自宅から新潟市内まで4時間、休憩を入れると4時間半ほどの行程です。
満充電の状態で自宅をスタート。相変わらずキュートなエクステリアは注目度も高く、市街地でとくに映えます。FR(後輪駆動)なので小回り性能も抜群で、まさにシティコミューターとしては、お勧めの1台です(価格は別として……)。この点で言えば、最近日本に登場したフィアット500eの、まさに好敵手という存在になります。当然ながら日常的に似合う使い方といえば、住宅用の6kW、普通充電器(EV、PHEV向け)を設置し、夜間に充電を完了したら翌日には通勤用として往復50~100km程度の範囲内を走るといったスタイルでしょう。
一方で、休日の片道200kmほどドライブであれば、途中で2回ほどの充電で対応できる計算になり、ロングドライブも苦手項目というほどではないはずです。今回は関越自動車道を走り、緩やかに登りながら関越トンネルを抜け、湯沢、長岡、そして新潟というルートです。
練馬ICで関越道に乗り、埼玉県の上里SA手前で、バッテリー残量60%、その時点での航続可能距離110kmほどになっていました。ここまで80kmほど走行していますから、バッテリー容量で計算すると、合計で190kmは走行できそうです。この数字は「カタログ数値の70%が実走行」という定説に合致しています。まずは最初の充電ポイントと定めた谷川岳PAの充電スポットまで行ってみることにしました。