「全く考えていない『サラリーマン増税』うんぬんという報道があるが、どうなんだ」──岸田文雄・首相は7月25日に官邸で会談した従兄弟の宮沢洋一・自民党税調会長にそう“詰問”し、宮沢氏が「党税調でそういう議論をしたことは一度もなく、私の頭の隅っこにもない」と説明すると「良かった」と語ったとされる。
増税の火消しに躍起となっていることがうかがえるが、今さら首相や宮沢氏が否定しても、政府が積み重ねてきた増税シナリオは誤魔化しようがない。
財務省担当論説委員の経験がある元東京・中日新聞論説副主幹のジャーナリスト・長谷川幸洋氏は、財務省が次に狙っているのが、所得税の「ステルス増税」だと指摘する。
「いきなり所得税の税率を上げると言えば国民の批判を浴びる。そこで、所得税の各種の控除を廃止・縮小したり、会社から支給される住宅費や交通費など現在は課税対象外の収入にも税をかけるというステルス増税を進めようとしている」
経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「増税や社会保険料の負担増はすでに来年以降のスケジュールが決まっています。政府税調も分厚い答申を出して渾身の姿勢で増税に乗り出す構えです。岸田総理が『考えていない』と言うなら、こうした動きを止めなければおかしい。バレてから隠しても遅い」と一刀両断にする。