「細かく課税していく」のが増税議論の特徴
政府税調の中期答申ではその理由をこう書いている。
〈本来、所得は漏れなく、包括的に捉えられるべきであることを踏まえ、経済社会の構造変化の中で非課税等とされる意義が薄れてきていると見られるものがある場合には、そのあり方について検討を加えることが必要です〉
荻原氏が語る。
「通勤手当への課税や控除廃止は個々の増税額は小さくても、サラリーマン全体が対象になる。この細かく課税していくというのが今回の増税議論の特徴です。財務省は本当は消費税を上げたい。今年10月にインボイス制度が導入されれば、最初は混乱するでしょうが、制度上、複数税率がつくりやすくなるので、消費税増税を進めるはずです。
だが、実施にはまだ時間がかかる。それまでのつなぎとして、細かい増税で税金を取ろうとしていることがわかります。岸田首相は総選挙を控えているから言わないだけで、財務省がこれだけの準備をしている以上、岸田首相の本音は選挙が終われば一気に大増税路線に舵を切るつもりなのは火を見るより明らかです」
これだけ証拠を突きつけても、岸田首相はまだ「増税は考えていない」と国民にウソをつき続けるつもりなのか。
※週刊ポスト2023年8月11日号