7月後半から8月中旬にかけて3000社近い上場企業の決算発表がある。投資家からすれば「上方修正=好材料」として株価上昇を期待しそうだが、必ずしもそうならないケースがある。株価上昇につながる上方修正とそうではない上方修正との違いは何か。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、現在の相場環境を踏まえて解説する。
決算シーズンが到来
7月後半から決算シーズンがスタートした。8月中旬までの期間に集中して3000社弱の企業で決算発表が行われる。投資をおこなう上で、決算は企業の業績を示す重要な手がかりとなる。
決算後の投資判断としては、良い決算であれば買い、ガチホ(保持すること)、追加購入などの戦略が考えられ、逆に悪い決算であれば売り、手仕舞いなどの戦略を立てることが多い。
つまり「良い決算を出せば、株価が上昇するだろう」「悪い決算を出せば、株価が下落するだろう」という投資家の考えが、決算後の株価を決めていく。
特に上方修正、下方修正などの業績見通しの修正発表は、当初の想定を超えた業績の良さ、悪さを反映するものとなるので、上方修正であれば好材料、下方修正であれば悪材料として株価が反応しやすくなる。
ただ、今、日本市場には明らかに逆風と考えられるマクロ経済事象が多く存在している。たとえば、日銀の政策変更による為替動向の不透明さが、自動車などの外需企業にどう影響を与えるのか。また、今後の日本のインフレ傾向があらゆる産業の物価高を呼び込み、業績を圧迫していないか、などである。
そうなると、今後の企業業績を予測するうえでは、良い決算=買い材料という図式が簡単には結びつかなくなってしまう可能性がある。