核家族化が進んで自宅と実家との距離が遠のき、親きょうだいの心理的な距離も広がっている現在は、こうした不動産をめぐる“面倒くささ”から、空き家が増えている。
空き家問題や相続手続き、終活など、蓄積された相続に関するあらゆるデータを分析し、解決をめざす「相続工学」を用いて相続の当事者と専門家をつなぐサービスを行うルリアンが分析した最新のデータによると、2023年までに発生した相続のうち27.6%で、人が誰も住まない「空き家」が発生している。ルリアン代表の藤巻米隆さんが言う。
「実家と離れた場所に子供が住んでいる人ほど、空き家になりやすいというデータが出ています。
国も手をこまねいているわけではなく、来年4月からは、不動産登記の申請は相続から3年以内に行うことが義務づけられることが決まっており、これを怠ると10万円以下の過料が発生します。不動産登記には名義人の出生から死亡までの戸籍などが必要になり、この手続きでつまずく人も多いのです。ですが相続を放棄するにしても、3か月以内に済ませなければなりません」
不動産と預貯金のバランスが悪い家庭ほどもめやすい
手続きが煩雑なだけでなく所有するデメリットも大きい不動産は“ババ”になりやすいと、税理士の板倉京さんは語る。
「その家に住みたい人がいるなら、まずその人に相続させるのがいちばんです。次に、住まないけれど欲しいという人に。誰も欲しがらないなら売ってしまい、そのお金を分ける『換価分割』がいいでしょう」