普段行く店が混んでいて使えない…
地元自治体が積極的に観光客を誘致する例もあるが、それも盛り上げすぎると、賛否が分かれるようだ。アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台、静岡県沼津市には、ラブライバー(ファンの呼称)が全国から集まる。沼津市在住の30代女性・Cさん(飲食店勤務)は、こう話す。
「私はそもそもアニメ好きなので、人が増えても活気づいてよかったなと思う側。電車からバス、タクシー、船、マンホールなどが全てAqours仕様になっていた時は驚きましたが、私は『ふーん』という程度。ただ、親や祖父母は困惑しきりでしたね。
ラブライバーのおかげで街の活性化につながりましたが、地元の人が普段行く店が混んでいて使えなかったり、ゴミのポイ捨てが増えて不満を持っている人がいるのも事実です。聖地巡礼による活性化と地元住民の暮らしとのバランスが難しいと感じました」(Cさん)
Cさんは、地域活性化が一過性のもので終わらないことを願っている。
「作中に登場するマルサン書店(仲見世店)が去年、閉店しました。でも今年、2日間限定で復活したんです。子供の頃から利用していた本屋だったということもありますが、その時の行列を見て、『こんなにもファンがいるんだ』とうれしくなりました。ただ、こうした盛り上がりがいつまで続くのかという思いもあります。街の持続的な発展につながればいいのですが……」(Cさん)
地域にもたらす恩恵がある一方で、さまざまな課題も抱えている聖地巡礼。ファンにとっても、住民たちにとっても、ウィンウィンの関係を築くことができるか──。(了)