未使用品だとしても「なんかイヤじゃない?」
「いい買い物をした」と思っていたケイコさん。しかし、Aさん宅を訪問し無事にプレゼントを手渡した際の帰り道で、心がざわついたという。一緒に訪問した別の友人・Bさんとの会話がきっかけだった。
「『出産祝いって悩むよね。センス悪いの贈るとフリマアプリで売られちゃいそうでさ』というBさんの言葉を聞いたとき、私は何も言えなくなりました……。Bさんは0歳から使えるボディローションをプレゼントしたそうです。できるだけ何気なく『どこで買ったの?』と聞いたら、不思議そうに『公式サイトだけど(なんでそんなこと聞くの?)』と返されました。まぁそうですよね……」
「自分の取った行動は間違っていたのか……」と不安な気持ちになったケイコさんは、出産祝いをフリマアプリで調達したことをBさんに打ち明けたという。
「『そりゃフリマアプリで新品買って渡してもわからないけどさ、なんかイヤじゃない?』と言われました。未使用品だとしても、一度は誰かの手に渡った中古品なのだから、人に贈るものではないだろう、というのがBさんの意見でした。
Bさんの言い分もわかりますが、新品同様にきれいな物なら、私は贈っても問題はないと思います。安く手に入ること自体に価値がありますし……。逆に、定価より高くなる恐れもありますが、物によっては店頭で売り切れの掘り出し物が手に入ることもあると思います」
ところがそれ以来、ケイコさんはもやもやと悩み始めてしまったという。
「もちろん、フリマアプリを使って用意したことをAさんに言うつもりはありませんが、そもそも要らないから出品された物ですし、相手に失礼だったのではないかと自問自答しています。子育て経験がないのでスタイと靴下のギフトがどれくらい喜ばれるのかわかりませんが、使ってもらえたらいいな……と願っています」
ケイコさんは最後に、「でも……フリマアプリで人へのプレゼントを買うこと自体、やっぱり失礼にあたるんでしょうか。そこが一番心に引っかかっています」と話していた。
予算のことだけで考えるなら、新品よりも価格が安いことの多いフリマアプリが有利なはずだ。ただし、新品/中古品に対する考え方や価値観は人それぞれであり、それが贈り物である場合は、価格だけでは割り切れない双方の“気持ち”が絡んでくる。物価高の現在だからこそ、「自分が贈りたい気持ちとは何か」「相手が喜ぶ贈り物とは何か」について考えるきっかけとなるエピソードだった。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。趣味はドライブをしながら道の駅を巡ること。