マイナンバーカードをめぐって、健康保険証や公金受取口座との紐づけミス、住民票誤交付などのトラブルが続いたことで、野党やメディアからの批判が続いている。カード返納の動きも出ていると報じられているが、マイナンバーカードを申請しているのは、8月13日時点で約77%(交付されているのは約75%)。いまだ5人に1人以上は申請していない現状がある。マイナンバーカードを作ろうとしない人たちは、どのような考えを持っているのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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一定数の人々がマイナンバーカードに反対していますが、テレビと新聞が徹底的に批判し、恐怖を煽っているのも大きいのではないでしょうか。毎度のことですが大メディアは政権批判に使えるネタであれば、「これは数字が取れる!」として報じ続ける。
そこで紹介されているのは主に高齢者の不安の声ですが、「紙の保険証が使えなくなるのは困る」「悪用されて銀行口座からカネを下ろされてしまうのでは」「誰かが自分になりすましたらどうしよう」といったものがあります。
まぁ、別の理由としては「メディアが怖いと言っている」「私の全財産が政府・役所に筒抜けになってしまう」「政府に私の行動を監視されるのはイヤ」「遺産を没収されたら困る」といったところもあるかもしれません。
2015年、安全保障関連法が成立した時、左派メディア・政党は「戦争法案」と呼ぶなどして殊更に恐怖を煽り「民主主義の危機」を訴えました。2013年の特定秘密保護法の議論の際は、「居酒屋で上司を殴る相談を2人以上でしたら逮捕される」「政府批判をしたら逮捕される」「原発の情報が隠蔽される」などと、なんでもかんでも共謀罪に結び付けられることを危惧し、これまた危険性と民主主義の崩壊を訴えた。
マイナンバーカードの問題について東京新聞は、長崎県の医師が女性スタッフに自分のカードを渡したうえでカラープリントした自身の顔写真をお面のようにかぶらせ、カードリーダーを突破できるかの実験を紹介。「なりすまし」の危険性に言及しました。