スーパー・コンビニの「PB」が狙い目
経営戦略コンサルタントで百年コンサルティング代表の鈴木貴博さんが注目するのは、コンビニやスーパーの「プライベートブランド(PB)」。
「イオンなら『トップバリュ』、セブン&アイなら『セブンプレミアム』といった、各小売店が独自に企画・展開している商品群を『プライベートブランド』と呼び、これらはいまの値上げラッシュにおいても、比較的価格が安定しやすい傾向にあります」
既存のメーカー商品である「ナショナルブランド(NB)」に対し、PB商品は卸売業者を介さず自社ルートで生産できるため、物価高の影響を受けにくく、かつ、値下げや増量などの調整もしやすいのだ。
しかも、近年のPBは品質が上がっている。以前は「PBは低価格で低品質」などといわれたが、いまはPB商品はどれも大手メーカーが製造を手掛けている。例えば、トップバリュのプレミアム生ビールはサッポロビールが、カップ麺は明星が製造元で、いわば有名ブランドの“ジェネリック”なのだ。
商品ジャンルも、食品だけでなく洗剤や靴下、化粧品、日用雑貨など、より幅広くなっており、生活に取り入れない手はないだろう。
「時世に逆らった値下げは、それ自体が話題を呼ぶので、売り上げを伸ばす“広告宣伝費”になると考えている企業もあります。
小売店に限らず、ファミリーレストランのデニーズが期間限定でアルコール飲料を値下げしたなど、チェーン店のプライスダウンも、同様のねらいあってのことでしょう」(鈴木さん)
※女性セブン2023年9月7日号