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【定年後のインボイス対応どうすべき?】再雇用、副業、フリーランス…働き方別の対応策を詳細解説

インボイスは定年後の働き方にも影響(写真:イメージマート)

インボイスは定年後の働き方にも影響(写真:イメージマート)

 大きな政治的混乱と国民生活への打撃をもたらすとみられている「インボイス制度」が10月から導入される。年金受給世代もインボイスと無縁ではいられない。

 インボイス制度は国税庁に登録した課税事業者だけが消費税の正確な税率や税額を証明するインボイス(適格請求書)という名の領収証を発行できるようにする制度だ。現在、課税売上高が1000万円以下の商店、自営業、農家、フリーランスなど小規模事業者は消費税を納付する義務が免除されているが、登録すれば売り上げ1000万円以下でも消費税を納めなければならなくなる。

 完全リタイアではなく、働きながら年金を受け取るシニアが増えるなか、どんな影響が考えられて、どう対応すればいいのか。専門家への取材をもとに、働き方別の考え方がわかるチャートを作成した。自分がどのケースに当てはまりそうかを確認してほしい。

働き方別、定年後の「インボイス対応策」フローチャート

働き方別、定年後の「インボイス対応策」フローチャート

 タイプ別に注意点を見ていく。最初は定年後も再雇用で「会社員」を続けるケース。

 会社員は事業主ではないためインボイス登録は不要だが、会社の「経費」には気をつけたい。『フリーランスのためのインボイスと消費税』の著者で税理士法人服部会計事務所の服部英樹氏が説明する。

「備品を買った小売店や接待で使った飲食店などが、インボイス登録をしていない事業者の場合、領収証にインボイス発行事業者であることを示す『登録番号』が記載されません。登録番号が記載されている適格請求書(インボイス)でなければ、会社(課税事業者)はその経費で支払った分の消費税額の控除を受けられず、負担が増えることになります。10月以降は、支払先がインボイス登録事業者か否かの確認をするよう経理から指示があると思います」

 会社員が「副業」する場合も、インボイスの影響を受けるかもしれない。

「アルバイトのように雇用されて働くなら給与所得になり、インボイスは関係ありません。しかし、業務委託などで個人事業主として副業をしている人は、取引先からインボイスの発行を求められる可能性があります」(服部氏・以下同)

 例えば、副業で事業用の物件を貸し出す「サラリーマン大家」はテナントとの攻防が予想される。

「消費税が非課税になる居住用とは異なり、事業用の物件の賃料は消費税が課されます。大家が免税事業者で、インボイス登録をする予定がない場合、10月以降の賃料について、テナントに入る企業(課税事業者)からインボイスの発行を要求されたり、消費税分の値下げの要求をされる可能性があります」

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