家計

“66才で貯金30万円”のオバ記者に経済コラムニストが一言「健康で仕事と仲間がいれば不安に思うことなんてない」

野原:でも、中にはお金の有無が原因で命を落とす人もいるでしょ。それに老後資金がない不安は切実で、理想論なんか通じないくらいリアルな問題よ。私は昨年、大病をしたんだけど、その治療費の支払いや、働けなかった影響なんかで、貯金残高が30万円にまで減っちゃったわけ。老後なんていう将来の話じゃなくて、今月をどう生き抜くか、家賃をどうやって払うかで必死なんだから。

大江:お体はもういいの? それはよかった。60代ならまだまだ働けますし、老後の資金を貯めるのに遅いということはありません。大切なのは健康。野原さんのようなフリーランスの場合は、仕事があること。そして、仕事は人との信頼関係で成り立ちますから、人間関係も大切。健康で仕事があれば、働いて稼げるし、信頼できる人がいれば助けてもらえる。お金よりそっちの方が大切だって思えない?

野原:まあ、そうね。私の場合、ライターの仕事のほかに、衆議院議員会館でもアルバイトをしていて、いろんな人に会える。これがおもしろいのはたしか。仕事の依頼も知人の紹介ってケースが多いから、人とのご縁は大切よね。それが結局お金を生むことになるわけだから。

大江:そうでしょ。先ほどの話じゃないけど、貯金があっても老後が不安だっていう人は多い。お金に執着していると、いくら貯金があろうと不安は消えないんです。お金なんてただの記号だって思うくらいがちょうどいい。

 こうして話していてもわかるけれど、野原さんはコミュニケーション能力に秀でているから友達も多いだろうし、信頼も厚いはず。そういうことの方が貯金よりもずっと大事だと、ぼくは思いますね。

野原:言われてみれば友達も頼れる人も多い。そう考えると私は大資産家ということ?

大江:そう! 貯金がなくても健康で、仕事と仲間がいれば不安に思うことなんてないんです。そして、そういうお金以外の“財産”を駆使して、できるだけ長く働くことが大切なんです。

野原:う~ん、言いくるめられた感じはするけど、かなりホッとしたかも。

後編につづく

【プロフィール】
大江英樹さん(71才)/大手証券会社に定年まで勤めた経験を生かして独立。書籍の執筆や、投資家向けの講演活動などを行う。近著に『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(光文社)。

「オバ記者」ことライター・野原広子さん(66才)/茨城県出身。体当たり取材を得意とし、これまでにダイエット、富士登山、空中ブランコなどに挑戦。著書に『で、やせたの? ~まんがでもわかる人生ダイエット図鑑~』(小学館)。

取材・文/上村久留美

※女性セブン2023年9月14日号

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