野原:私はアプリの存在さえ知らなかったし、お金の出し入れについてはまったく管理できていないわね……。わからないからやみくもに不安がっていたってわけね。家計簿でもアプリでもいいんだろうけど、数字をちゃんと見ることでお金というものをより冷静に、一歩引いた視点で見られるようになるかも。
〈自分がどれくらい稼いで、何にどれくらい使っているかわかれば、貯金がなくても、必要な分だけ稼げばいいとわかる。稼ぐ目標が明確になると余計な不安に襲われないのだろう。〉
大江:お金の出入りを把握しつつ、できるだけ長く働いたら、年金に頼れるところは頼って、90才貯金ゼロで人生の幕を下ろす。それでいいんですよ。
野原:そうね。日本人のたんす貯金額は1兆円を超えるとかっていうじゃない。でもそうしてコツコツ貯めたお金が血みどろの相続争いのきっかけとなったら元も子もないわよね。お金は使う分だけ稼いで、それを使い切って死ぬというのが、たしかに、いちばんスマートな生き方かもね。あら? やっぱり「宵越しの銭は持たない」って真理だったんじゃない?
(了。前編から読む)
【プロフィール】
大江英樹さん(71才)/大手証券会社に定年まで勤めた経験を生かして独立。書籍の執筆や、投資家向けの講演活動などを行う。近著に『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(光文社)。
「オバ記者」ことライター・野原広子さん(66才)/茨城県出身。体当たり取材を得意とし、これまでにダイエット、富士登山、空中ブランコなどに挑戦。著書に『で、やせたの? ~まんがでもわかる人生ダイエット図鑑~』(小学館)。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2023年9月14日号