観測史上「最も暑い夏」となった今年は、降雨量も少なく、地域によっては取水制限が検討されるなど、「水不足」が深刻化している。そんな中、全国各地で実施されているのが「水道料金の値上げ」だ。日々の暮らしに欠かせない水の値上げは家計を直撃する問題だが、その背景には何があるのか。ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者・河合雅司氏(作家・ジャーナリスト)が解説する。
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近年、全国で水道料金の大幅値上げの動きが目立つ。政令指定都市である岡山市は2024年度から平均20.6%の引き上げを決めた。
岡山市水道局は施設が老朽化し更新費用がかさむことなどを理由に挙げ、値上げをしなければ2031年までに281億円の資金不足になると説明している。
水道料金を値上げしたり、値上げを予定したりしている水道事業体は少なくない(図参照)。2022年1月に踏み切った福岡県飯塚市の場合、値上げ率は平均 35%だ。
EY新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局の「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2021年版)」は、分析対象の約94%に当たる1162事業体が2043年度までに値上げが必要になると推計している。平均値上げ率は43%で、648事業体では30%以上の値上げが必要になるという。
なぜ、これほどまでの大幅値上げが求められるのか。長年価格改定をしてこなかったツケが回り大幅増になったという事情のところもあるが、多くは岡山市と同じく施設・設備の更新費用の膨張が直接的要因である。