地場証券では月間利益1000万円を超えると「凄腕」
「ポジション限度額」とは、株取引でいえば、いくらまで株を買っていいかという金額。「1か月間ノルマ」は、その名の通り1か月で1人のトレーダーが相場で勝たなければいけない金額を表します。このノルマを3か月連続で下回ってしまうと、地場の証券会社ではクビになることも珍しくありません。「1日当たりロスカット」とは、1日で最大いくらまで損をしてよいかの金額。そして「売買停止(1か月間)」とは、そこまでの損失を出してしまうと、その月はもう売買ができなくなる金額です。
地場の証券会社の1か月間ノルマの金額が「130万円」というのは少ないように思えるかもしれませんが、このノルマをギリギリ上回るような利益水準では、トレーダーが生活していくには非常に厳しい給与額になってしまいます。つまり、地場のノルマはクビにならないギリギリのラインということです。
プロップトレーダーの給料は、地場でも上場でも固定給とインセンティブで構成されています。このインセンティブが非常に大きく、なかには年収1億円を超えるサラリーマントレーダーも珍しくありません。一方、地場の証券会社でノルマを3か月連続で下回るようなトレーダーが簡単にクビになることを考えると、まさに“天国”と“地獄”ほどの違いといえるでしょう。
というのも、地場の証券会社のプロップトレーダーはほとんどが契約社員だからです。通常は3~6か月、実績のある人でも1年間の契約期間が多く、3か月連続でノルマを下回ると契約更新してもらえずクビになることが多いのです。
契約社員の固定給は安く、何の実績もないトレーダーは月20万円を下回ることもあり、たとえ実績を積んでも20万~40万円の間に収まるくらい。そのため、ノルマをはるかに上回る利益を上げてインセンティブを得なければよい生活は送れません。地場のインセンティブは基本的にノルマを上回った利益に対して30~50%ほど。
たとえば、私が勤めていた地場の証券会社では、月1250万円の利益を上げるとインセンティブは546万円でした。これに当時の固定給30万円を加えて月収が額面で576万円になりました。月1000万円の利益なら月給が450万円くらいになるので、これを1年続けられると年収が5400万円になります。地場証券では月間利益1000万円を超えられるトレーダーが凄腕と評価されます。