キャリア

「年収1億円サラリーマンも珍しくない」 元機関投資家トレーダーが明かす給料事情、地場証券と上場証券で大きな違いも

上場証券は正社員の立場でインセンティブで高収入を狙える

 一方、上場証券の場合、プロップトレーダーは正社員が多い。上場証券でもノルマを超えた部分に対してインセンティブが発生する仕組みは同じですが、金額が大きく異なります。地場で1250万円勝てば月収576万円になりますが、上場証券で1250万円勝っても、それはノルマをクリアしたに過ぎず、固定給しかもらえません。その代わり、正社員という地位が確保され、ノルマを達成できなくても他部署に異動になるだけです。固定給とはいえ上場証券の総合職と同じ給与がもらえるため、それなりに高収入です。

 地場で年収5400万円になる利益水準は月間1000万円と説明しましたが、同じ年収を私が勤めていた上場証券でもらうには、年間の利益で4億5000万円ほど、月間で毎月約4000万円弱の利益を上げる必要があります。規模が全然違います。

 上場証券のプロップトレーダーはノルマも大きく、インセンティブの割合も地場より低いのですが、ポジション限度額が大きなトレードができ、かつ売買できる金融商品の種類も多いのが大きな魅力です。私が勤めていた上場証券では、生涯獲得利益が50億~100億円という凄腕のプロップトレーダーが何人もいたほどです。

 そういえば、私が上場証券に勤めていた頃、他の上場証券に転職を考えた時がありました。でも、その時に提示された条件は固定給が年収で1000万円、インセンティブが年間ノルマ1億円を上回った利益に対して10%という条件でした。通常、インセンティブの割合は利益の金額が大きくなるほど階段状に上昇していくことが多く、その証券会社はどこまでいっても10%しかもらえない“渋いインセンティブ”だったので転職はやめました。

 トレーダーと一口にいっても、その処遇はさまざま。正社員という立場を手に入れつつ規模の大きなトレーディングをし、インセンティブで高収入を狙えるのが上場証券のプロップトレーダーであり、すぐにクビになるけれど比較的門戸が広く、夜間の海外マーケットを気にせずデイトレードで高収入を追求できるのが地場証券プロップトレーダーなのです。

【プロフィール】
元機関投資家トレーダー堀江:1974年生まれ、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程後期退学。大学院在学中に、倍率167倍の中途採用試験を突破し、証券会社の契約社員トレーダーとして入社。自己売買部門トレーダーとして株式と日経平均先物の取引をスタートし、相場観とテクニカル分析で利益をあげ続ける。その後、上場証券の自己売買部門トレーダーへキャリアアップ。プロのトレーダーになってから10年を機に個人投資家へ転身した。著書に『メガ盛「株ドリル」 億を儲けた“鬼神プロトレーダーの技術”全部のせ』。グローバルリンクアドバイザーズにて「米国株指数投資戦略」メルマガを配信中。公式ホームページ・堀江投資塾(https://www.tousijyuku.com/)。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。