阪神タイガースがセ・リーグを制覇した。大阪の街を中心に大いに盛り上がっているが、「阪神が優勝すると日本が好景気になる」というアノマリーがある。特に大きかったのが1985年の阪神日本一で、その直後、日本経済はバブル景気に突入した。当時の盛り上がりはどのようなものだったのか。昔からの阪神ファンであるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が振り返る。
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2000年になるちょっと前のこと、私は広告会社に勤務していたのですが、当時の局長が「複数のクライアントを巻き込んだ日本を元気にするダイナミックな企画を考えよう!」と言い出し、それに対して部長が出したのが「阪神タイガースを応援して日本の景気を上げよう」というものでした。部長はこうプレゼンしました。
「阪神が優勝すると、景気が上がるのは歴史が証明しています! 1962年の初優勝の時は、シーズン終了後から『オリンピック景気』が開始しました。1964年は翌年から『いざなぎ景気』が、1985年は翌年から『バブル景気』が開始しました。つまり、阪神が優勝すると景気がその直後~翌年に上がるのです。日本中で阪神を応援する企画を作るのです!」
一見説得力があるように聞こえますが、かなりこじつけでしょう(笑)。そしてそこで出たアイディアは「全国の巨大駅に狛犬的に虎が迎え入れてくれる小さな神社を作り、スポンサーをつけ、そこに賽銭箱を置く」というもの。この企画がその後どうなったのかは知りません。
さて、今年も関西を中心に盛り上がりを見せていますし、900億円を超える莫大なる経済効果が見込まれるという試算もあります。とはいえ、やはり多くの人の記憶に残っているのは、阪神が日本一となった1985年でしょう。その翌年から空前のバブル景気に日本は沸くことになります。
この年は自分(当時12歳)にとって、もっともプロ野球史上覚えている年であり、とにかくものすごかった。当時の阪神フィーバーを振り返ってみましょう。