為替介入の皮算用が…
多少の投資経験を持つというB氏は「FX(外国為替証拠金取引)」で大やけどを負った。FXはドルと円など2つの通貨を「ペア」として売買し、レバレッジと呼ばれる仕組みで手持ちの証拠金の最大25倍もの取引ができるのが魅力だが、リスクも大きい。
2022年9月22日、ドル円レートが23年ぶりに1ドル=145円台となると、日本政府は円買いの為替介入を実施。だが、円高に振れたのは一時的で、その後も円安基調が進んでいた。そこでB氏は勝負に出る。
「それまで私はドル買い・円売りのFX取引をしており、円安の進行でそこそこの利益を得ていましたが、あの時は政府の為替介入による円高への反転を期待。それまでとは反対のドル売り・円買いの“逆張り”に踏み切ったのです。10月3日に1000万円を投じて(10倍のレバレッジをかけて)1ドル=145円でドルを売り、直前の為替介入時のように140円台前半まで一気に5円程度の円高になれば、約350万円の儲けになるという“皮算用”でした」
ところが、円安はさらに進行。140円台後半が続くなか、焦りを感じたB氏は撤退を決意した。「わずか20日間ほどで1000万円が650万円まで、350万円も減ってしまった。為替取引の怖さを痛感しました」という。
2国間の通貨で行なわれる為替取引はシンプルな仕組みである一方、日々変動する為替動向を読む力が必要となり、勝ち続けるのはプロでも至難の業とされる。
FXほどリスクが高くないとされる「外貨預金」でも同じことがいえる。日本円よりも高金利のオーストラリアドルに魅力を感じたC氏は、外貨預金で失敗したひとり。
「2022年9月、定期預金で年利2%超という豪ドルの外貨預金に魅力を感じ、退職金のうち100万円を投資しました。1豪ドル=97円で、まだまだ円安は続くだろうと見ていたら、12月には90円を切るところまで豪ドル安・円高が進み、今年3月にはついに87円台に。そこで怖くなってギブアップし解約しましたが、為替手数料などを含め半年間で約14万円の損失となりました」
外貨預金は金利が高くとも、為替差損のリスクが付きものとなるのだ。