医師も絶賛する「旅」のスゴイ効果
旅行にはいったいどんな効果が期待できるのだろうか──。そこには大きく3つの専門的な分析がある。
まずは「知的好奇心」が満たされること。東北大学加齢医学研究所教授で医学博士の瀧靖之さんは、「旅行のメリットは、計画を立てる段階から得ることができる」と説明する。
「旅行に行く前にガイドブックを読んだり、その土地の歴史や名所、ご当地グルメなどを調べるだけでも知的好奇心が刺激されます。それだけでも、幸福度が上がるのです」
2つ目は旅先での「コミュニケーション」。同行者や旅先で出会った人たちと心を弾ませながら交流し、直接顔を合わせて会話することは、脳を活性化させる効果がある。
「人と会話するということは、ただ言葉のやりとりをするだけではありません。相手の表情や身振り手振りを読み取って共感し、情報や感情をやりとりする。このコミュニケーションにより、認知機能のほか、思考や判断を司る脳の前頭前野が活性化され、脳の健康が促進されることがわかっています」(瀧さん・以下同)
最後が「運動」だ。旅先では不思議と足が軽くなり、普段からは考えられないほどの距離を歩くことができたという人もいるだろう。中には旅行を計画してから体力づくりを始める人もいる。旅と運動は切っても切り離せないものなのだ。
「運動は脳と体の健康に欠かせません。専門的には、少し息が弾む程度の早歩きを30分~1時間、週2~3回することが、心身の働きが低下する『フレイル』の対策として最適です。普段は難しくても、旅行中はつい楽しくて早歩きになる人も多いでしょう」