別の企業の広報担当者は、決定に至るまでの経緯をこう明かす。
「今年3月に英BBCの報道があって以来、事態を注視していたが、事実関係の把握が必要だった。転機となったのが8月29日の外部調査チームによる報告書の発表です。性加害の事実認定がなされたことで、今後の方針について示したほうがいいという話になった。
社内の関係者や経営陣と話し合い、報道機関から問い合わせがあった場合の想定問答集を作成していました。それでも先に東京海上日動などが取材に答えたために、弊社はその後の取材を受けて発表する形になりました」
会見の反響を受けて方針を転換した企業も
あらかじめ方針を固めていたにもかかわらず、自ら進んで発表する企業がなかった背景には、こんな事情があった。
「大手メディアも性加害問題の報道に消極的ななか、先陣をきって広報声明を出すのは博打が過ぎます。どこかの社を観測気球にしてから対応する戦略を採りました。先に態度を明らかにした他社の担当者に『どうやって回答内容を決めたのか』といった問い合わせもしながら対応の詳細を定めていった」(別の企業の広報担当者)