一方、ジャニーズ事務所による会見より前に「今後、同社のタレントを起用しない」と社内協議で独自に決定していた企業もあった。
「方針を決定後、数日で新たなタレントのキャスティングを決めて、新CMの撮影まで済ませていた企業もあります。グローバル企業として自社商品の海外展開を考えた時に、タレントへの性加害という深刻な問題に対する海外からの厳しい視線を強く意識したようです」(広告代理店関係者)
しかし、ほとんどの企業は対応に苦慮し、会見で事実関係が認定されるまで“様子見”という状態だった。
ジャニーズ事務所による会見への反響を受けて、当初の方針を転換した企業もある。
「モスフードサービスは、『起用を続ける』としていた方針を13日に一転し、『契約を継続しない』と発表。止まない事務所への批判の声や、他社の対応を考慮したようです」(企業ジャーナリスト)
モスの広報に聞くと、以下のように答えた。
「この度のジャニーズ事務所所属タレントの起用について、多くの方々にご心配をおかけしておりますこと、お詫び申し上げます。9月7日のジャニーズ事務所記者会見後、今後の対応を協議してまいりました。いかなる性加害の問題も、私どもの人権方針の基本的な考え方に反します。
今後、明確な被害者救済と再発防止の取り組みが認められない以上、ジャニーズ事務所との契約は継続しないことを本日決定いたしました。現在展開中のジャニーズ事務所所属タレントを起用したTV-CMや店頭広告などについてもできる限り速やかに変更します」
モスが方針を転換した13日は、ジャニーズ事務所が公式ホームページで「再発防止策」を発表した日だったが、その前後も変わらず企業広報側は揺れていたようだ。
(後編に続く)
※週刊ポスト2023年10月6・13日号