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【インボイス制度】当面は経過措置もあり個人事業主への影響は軽微か ただし「資金力のない発注者」はダメージ大

事務作業のコスト増大が顕著に

 インボイス制度が導入されて、もっとも顕著に現れる影響は事務作業のコストの増大かもしれない。

 これまでは基本的に、取引先が課税事業者だろうが免税事業者だろうが関係なく、1年分の売上を集計して、消費税を計算すればよかった。が、これからはインボイスを発行してもらえる場合と、発行してもらえない場合の取引を仕分けをした上での集計が必要になる。

「発注者側は取引先に応じた経理処理をしなくてはなりません。相手が登録事業者であれば、適格請求書が問題なく発行されているかのチェックが必要だし、免税事業者との取引については、『経過措置を使う』という形で仕分けをしなくてはなりません。経理作業にかかるコストは相当なもので、経理担当者1人という中小企業は大変だと思います」

 経理処理の負担は受注者側も同じだ。

「免税事業者から課税事業者になった方は、これまでやってこなかった消費税の申告を行うことになります。向こう3年間は『2割特例』という経過措置で納付額は軽減されますが、申告の事務手続きは必要です。自分でやれば時間がかかりますし、税理士に依頼するとなればその分のコストがかかります」

 さしあたりは、巷間、指摘されているような大きな混乱は怒らないかもしれない。しかし、段階措置は、2026年、2029年と段階的に終了していく。確実に影響は出てくるはずだ。

「インボイスに限らず税金や社会保険など、事業者を取り巻くルールは時代に応じて変わるものです。それを理解して、自分で判断する姿勢が大事なのだと思います」

【プロフィール】
小林義崇(こばやし・よしたか)/フリーライター・元国税専門官。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、東京都内の税務署や東京国税局、東京国税不服審判所で相続税の調査や所得税の確定申告対応などに従事。2017年、フリーライターに転身し、書籍や雑誌、ウェブメディアでお金に関する情報を発信。YouTubeチャンネル『フリーランスの生活防衛チャンネル』も話題。『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』 (PHPビジネス新書)、『元東京国税局職員が教えるお金の基本』(幻冬舎)、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)など、著作多数。

取材・文/鈴木靖子

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