苦境のシャープ産業に手を差し伸べたミズノ
シャープ産業は1957年に日本ペナントとして創業し、1963年から高校野球の記念品を製造販売するようになった。出場校の校名入りタオルやペナント、メガホンを販売。プロ野球に応援グッズがなかった時代だが、1965年から阪神タイガースのキャラクター商品の製造販売をスタートさせた。阪神甲子園球場内に店舗(タイガースコーナー・高校野球コーナー)も開設。ファンがグッズを使って応援するかたちが定着していったが、そこに先鞭をつけたのがシャープ産業だった。ミズノ関係者はこう話す。
「シャープ産業はもともと、年商22億円、従業員30人の会社でした。阪神グッズを手掛けつつ、春夏の甲子園で大きな利益を出していた。応援団が買ってくれる高校野球の記念品については独占状態だったものの、コロナの影響をモロに受けた。2020年の甲子園大会は春夏とも中止となり、夏は無観客での交流試合開催のみだった。その後も一般客を入れないなど、高校野球の記念品は壊滅状態に。プロ野球も無観客や上限を設けるなどして、売り上げが激減してしまった。
そんなシャープ産業にミズノが手を差し延べました。シャープ産業は倒産の危機を免れ、ミズノはシャープ産業のノウハウでグッズ販売の拡大を目指した。そうしたなかで、甲子園が通常開催に戻り、プロ野球も正常になった。売り上げが戻り始めたところに18年ぶりの優勝で大きな利益をもたらすことになったのです」
経営危機を救ったミズノに、予想をはるかに上回る「トラの恩返し」が果たされることになったわけだ。
※週刊ポスト2023年10月20日号
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