キャリア

高校で金融教育が必修化されて1年半 見えてきた教育現場の課題と家庭でできる金融教育

高校教員の回答から見る高校の金融教育の現状と課題

 2022年12月調査の株式会社QUICK「高等学校における金融教育意識調査2022」では、先生自身の金融リテラシー水準を測るアンケートがあり、結果から金融リテラシーを高・中・低と分け分析しています。この結果がなかなか興味深く、同じ教科書を使っても、どの先生に学ぶかで全く異なる授業になっていることが推測できるのです。以下、その内容を分析していきましょう。

【1】金融リテラシーが高いほど教える自信が高く、金融教育にも意欲的

「金融経済分野の知識の中で、教員として生徒に教える自信のあるものをお答えください」というアンケートにおいて、すべての分野において金融リテラシー低<中<高の順に「自信あり」と答えた人の割合が高くなっています。たとえば、金融や経済、市場の仕組みの分野では、金融リテラシー低の先生で自信ありと回答した人は14.4%しかいませんが、リテラシー高の先生では36.8%にのぼります。

金融経済分野で教員が教える自信のあるもの(株式会社QUICK「高等学校における金融教育意識調査2022」)

金融経済分野で教員が教える自信のあるもの(株式会社QUICK「高等学校における金融教育意識調査2022」)

【2】家庭科の先生と公民の先生で苦手意識に差

「どの金融経済分野に苦手意識を持っていますか?」というアンケートでは、担当科目によってハッキリと回答に差がつきました。家庭科の先生は資産形成・運用や経済の仕組みについて苦手意識がある人が多く、公民の先生は家計管理やライフプランに苦手意識がある人が多いという結果です。

金融経済分野で教員が苦手意識を持っている分野(株式会社QUICK「高等学校における金融教育意識調査2022」)

金融経済分野で教員が苦手意識を持っている分野(株式会社QUICK「高等学校における金融教育意識調査2022」)

【3】先生自身の意欲や学校側が積極的に取り組むほど、高校生が関心を持つ傾向

 先生の金融教育への意識や積極性と、生徒たちの関心・興味の相関についてのアンケートでは、先生自身が金融教育へ意欲が高かったり、学校側が金融教育に積極的だったりする場合、金融教育授業の際、生徒たちが関心・興味を持っていると思う先生が多いことがわかります。

教員の金融教育への意欲の有無による、生徒たちの関心・興味の違い

教員の金融教育への意欲の有無による、生徒たちの関心・興味の違い

学校側の金融教育への積極性の有無による、生徒たちの関心・興味の違い

学校側の金融教育への積極性の有無による、生徒たちの関心・興味の違い

【4】学校自体が金融教育実施に消極的のケースで、その背景は「時間がない」「大学受験につながらない」など

 高校では、大学受験科目も重要視されますし、すでに実施すべき授業が多く、特に大学受験の実績につながらない金融教育について、授業数を増やすことに消極的である学校があるのもうなずけます。

高校生までにしておきたい金融教育はどんなこと?

 前述のアンケート調査からは、自信がない分野についても教えないといけない学校の先生方の戸惑いや苦悩も伺えました。筆者は、成年になるまでに高校の授業で金融について学べる環境になったことはとても良いことだと思っています。しかし実際には学校や先生によって、また、子どもの関心ごとや性格によっても、金融リテラシーが学校では身につかない場合もあるでしょう。ここで、金融広報中央委員会が提示している高校生までに身につけておきたい金融リテラシーを紹介します。

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