1967年11月に初代が発売されてから56年、国内最高峰の「ショーファーカー」(後述)として確固たる地位を築き上げてきたトヨタ・センチュリー。現行の3代目モデルは2018年6月22日に発表、そして販売が開始された。日本の伝統技術に裏打ちされた工芸品のような仕上げと、最先端の走行性や安全装備を与えられた日本を代表するショーファーカーは、その地位をしっかりと守り続けている。
そこに今回、SUVのような背の高いハッチバックフォルムの新しいボディタイプがラインアップされた。「ついにセンチュリーにもSUVモデルが!」と話題を呼んだのだが、その実力はどれほどのものか? シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、自動車ライターの佐藤篤司氏が、その実像をレポートする。
4WD、背の高いハッチバックスタイル
プレミアムカーを表現するときに耳にするのが「ショーファーカー」、あるいは「ショーファードリブン」という呼び方です。「ショーファー」とはフランス語で「専従の運転手」という意味で、言わば「お抱えの運転手さん」がドライブするクルマのこと。企業の重役や国を代表する政治家など、VIP(要人)が後席に乗り、快適にくつろぎながら移動するためのクルマということになります。「ドライバーを主役」に置いて開発される「ドライバーズカー」とは、まさに対極にある存在です。
当然ながら、VIPが後席で、いかにリラックスできるかを徹底的に考えて開発されますから、最良の素材を使い、キャビンスペースをしっかりと確保し、静粛性が保たれた上質な雰囲気を演出するために、可能な限りの手を尽くすわけで、高価になります。今回の背の高い新型センチュリー(以下新型)は2500万円、従来のセンチュリー・セダン(以下セダン)は2008万円というプライスタグが下がります。