マネー

「119番がつながらない」が常態化、コール音だけが30分近く続いたケースも 背景にある構造的問題

東京消防庁では約35秒に1件の119番通報を扱う

東京消防庁では約35秒に1件の119番通報を扱う

 幸いなことに、その後、通報が受理されすぐに救急車が到着。患者は病院に運ばれ、大事には至らなかった。

「しかし、119番がつながるまで30分ものロスがあると命に関わりますし、麻痺などの後遺症が残るリスクも高まる。こうした事態はコロナ禍以降、昨年初頭の第6波、続く昨夏の第7波あたりから顕著になった印象です」(同前)

 問題は、救急車の出動が不要と推測される通報が相次ぎ、回線を塞ぐ一因になっていることだ。東京消防庁によれば「緊急性の低い通報が全体の約2割を占める」という。

家族に相談できない独居の高齢者

 上昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)は、119番がつながりにくい背景として「構造的な問題」を指摘する。

「とくに東京都心部では、紹介状なしで診てくれる100床規模の病院がとても少ないという問題があります。ましてや夜間は、体調に異常をきたして医師の診察を受けたくとも対応してくれる病院がほとんどない。自身で探すことも難しいから、『救急車で運んでもらおう』と119番通報してしまうことはあり得ると思います」

 家族と離れて暮らす独居の高齢者が増えていることも背景にあるようだ。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。