市民の「命綱」となるのが119番通報。だが近年、救急車を手配する消防の指令センターに「電話がつながらない」ことが常態化しているという。9月には東京消防庁がX(旧ツイッター)に〈不要不急の電話については、最後までお話を聞かずに切断する場合があります〉と投稿したことも話題になった。
救急車を呼ぶかどうかの判断がつかない症状の場合、東京消防庁をはじめ一部の地域では「#7119(救急安心センター)」に電話をかけて相談もできる。専門の相談員や看護師、医師が24時間体制で待機し、相談者が訴える症状に応じて近隣の医療機関への受診を案内するサービスだ。
だが、救急医療に詳しいジャーナリスト・村上和巳氏からはこんな指摘も。
「救急車の出動は不要と判断された場合、受診先となる近隣の医療機関をいくつか紹介されますが、リアルタイムの受け入れが可能か否かを確認したうえで案内してくれるわけではありません。紹介された数軒の医療機関に問い合わせても、時間外や医師の不在を理由に取り合ってもらえず、結局119番通報せざるを得ないパターンもあります」
都内で訪問診療を手掛ける内科医の田代和馬医師は、気温が低下するこれからの季節に向けて注意を促す。
「冬場は心筋梗塞や脳梗塞といった血管障害が増える時期です。インフルエンザや風邪などをこじらせて重症の肺炎になる患者さんも増える。1分1秒が勝負となる患者さんが多い冬場に、119番につながらず容体が急変するケースの増加が懸念されます」
とくに、こんな症状が出たら要注意だ。
「突然締め付けられるような胸の痛みが数分以上続いたり、脂汗が出る場合は心筋梗塞を発症している可能性が高い。片腕が上がらなくなるなどの症状は脳卒中が疑われます。躊躇うことなく119番通報する必要があります」(同前)