メイドな毎日から逃げ出したくて【47才パート女性のケース】
「ひげそりの替えはどこ?」
「え~作ったの? ダイエット中だからお弁当いらない」
朝5時に起きて朝食とお弁当を作り、自分もパートへ行く支度をしながら、夫(50才)と娘(17才)の面倒を見る──これがわが家のよくある朝の風景です。2人には何度も「手伝って」「それくらい自分でやって」とお願いしているのですが、無視されるか、ひどいときには、 「面倒だな。なんでおれがやんなきゃいけないんだよ」と逆ギレされる始末。
その面倒なことを私が一身に背負っているんですが? それでついに私も堪忍袋の緒が切れました。
そう、あれは1年前の夏。深夜1時、夫がシャワー後に使ったバスタオルを、洗濯乾燥を終え、きれいに仕上がった衣類の入った洗濯槽に無造作に入れたんです。
「ちょっと、洗いあがった洗濯物の中に入れないでよ」と怒る私に、「それくらい拾っておいてよ。それより鮭(焼いて夜食を作れという意味)」と夫。たたみかけるように娘が、制服のブラウスや下着、お弁当袋を洗濯槽へ入れ、「朝までに洗っておいて」。
このとき、私の中で何かがキレました。気づくと洗濯物を床に投げ、家を飛び出して、駅前を放浪していました。ふと見ると、ビジホの壁に「深夜チェックイン可能、宿泊4000円」と書かれたポスターが。これなら私のお小遣いで払えると、吸い込まれるようにホテルに入りました。
そこはまさに楽園でした。結婚して18年、常に誰かしらの世話をし、時間を気にせずゆったりと湯船に入るなんてことがありませんでした。寝室も夫と一緒ですから、いびきがうるさくて熟睡できない……。自分しかいない、というだけでこんなに心が休まるなんて思ってもみませんでした。