このように、シニア市場と言っても、かなり様相の違うものがその中にたくさんあるわけです。にもかかわらず、シニアビジネスは介護が始まってからと捉えている企業も多く、葬儀を起点に時間軸を前後に伸ばすと、シニアビジネスにはまだ取り込めていない「空白地帯」が広がっています。
シニア人口が増加・多様化する中で、理想的な晩年の過ごし方や人生のしまい方も、多種多様になってきています。そうしたニーズに対応することは、日本のシニア層を明るく前向きにすることにも寄与するのではないかと私は考えています。
(了。前編から読む/大前研一・著『「老後不安」を乗り越える シニアエコノミー』より一部抜粋して再構成)
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『「老後不安」を乗り越える シニアエコノミー』(小学館新書)など著書多数。