不安定な株式相場が続く中、好決算にもかかわらず、それが株価上昇につながらない銘柄も出てきた。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、3つの銘柄をピックアップし、決算の内容や決算後の値動き、銘柄の割安度などについて解説する。
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日本株は8月の決算シーズンが終わり、年初からの上半期の上昇とは裏腹に夏以降は方向感の乏しい相場が続いている。
今後についても、中国の経済減速、10月第3週から始まるアメリカ企業の決算発表に対する業績懸念が渦巻いている。さらにはパレスチナ問題も勃発し、落ち着きつつあった原油価格にも不透明さを与えている。
この相場環境の不安定さは、日本市場においても影響は免れられない。日本企業は円安ドル高の恩恵を受ける局面も多く、業績面では相変わらず好調と言えるが、好決算を出しながらも株価が大きく下落する銘柄を生んでいる。
今回は、そんな3銘柄をピックアップして分析してみたい。
【1】オンワード(8016)
10月5日に2024年2月期の上半期決算を発表した総合アパレル最大手であるオンワードは、前年同期比で営業益26倍、経常益で6.7倍、EPS(1株利益)で6倍という大きな利益成長を達成した。この業績自体も当初の上半期業績予想から大幅に利益を上振れ着地させたものであり、これに伴い通期業績予想は売上、利益ともに上方修正を行っている。
指標としてもPER(株価収益率)13倍、PBR(株価純資産倍率)は1倍割れという割安であったことから、今後の成長は大きく期待できるものと考えられる。通期業績の上方修正理由としては、商品開発、販売サービスの強化で主力ブランド、新規ブランドが好調推移したこと、SNSマーケティングの精度が上がったことでリアル及びオンラインストア来客数増加し、売上が当初の予想以上の成果となったこと、商品サプライチェーン効率化で粗利率が上昇したこと、販売効率改善で販管費率が低下したことなど、IRを見ても鼻息の荒さの伝わる熱気を感じた。