地元の常連は肩身が狭い? ここ数年で変化した客層
そもそも2021年まで、カフェと喫茶店は異なる業態であったが、現在ではその差異も消失している。都内の純喫茶のオーナーをしている男性・Bさん(50代)はこう話す。
「現在、カフェと喫茶店の違いはなくなっています。従来、喫茶店営業は軽食(クッキーやトースト類)を出すことはできましたが、アルコール類や食事を提供することはできなかった。一方、カフェでは食事やアルコールの提供が可能で、幅広いメニュー展開ができたのです。
それが、2021年に改正された食品衛生法によって喫茶店営業も飲食店営業に統合された。もっとも、昔ながらの喫茶店がアルコールを提供するためには新たに飲食店営業の許可を取らなければならないのですが、カフェと喫茶店の境界が曖昧化しているのは間違いないでしょう。純喫茶が若者にとっての『映えスポット』として、おしゃれなカフェ扱いされている背景には、こうした流れも影響していると思います。
実際、私の店は昔から営業スタイルを変えておらず、食事やアルコール類の提供もしていないのですが、ここ数年で明らかに客層が変わりましたね。一度、店内を全面禁煙にしたところ、昔からのお客さんから『せめて分煙にしてほしい』と要望があり、現在は小さい喫煙スペースを設けて分煙に戻した。
最近は『インスタで知りました』と遠方から訪れる若いお客さんも多い。みなさん、写真や動画を撮っているので、すぐに分かります。若者が来てくれるのは嬉しいことですが、昔から来てくれる地元のお客さんはちょっと肩身が狭そうですね」(Bさん)