典型的な「家計簿」の誤解
【誤解1】「家計簿は面倒で続かない」は本当?
細野氏:「家計簿」と言えば「三日坊主」という言葉が出てくるように、「続かないモノ」の典型だったよね。
でも、これはもう「過去」の話で、今はアプリで簡単に済ますことができるようになったり、『家計ノート』のように、「レシート1枚につき1行」を書き込むだけで終わり、というようにシンプル化してきているんだよ。そのため、昔のように、レシートにある商品をすべて1品ずつ書き込むような苦行をする必要性は無くなるなど、家計簿は「進化」して、もはや面倒ではなくなったんだ。
【誤解2】「家計簿はラクなものほど便利で効果的」は本当?
細野氏:この誤解は、「誤解1」の後に出てきたものなので、「近年の誤解」とも言えるね。一見すると、どんなものでも、簡単でラクに終わることができるのが理想的に思えるよね。ただ、例えば「思考力」などが典型的だけれど、時間をかけて深く考える習慣を持たないと身に付かないものも少なくないのが現実問題としてあるんだ。
そもそも家計管理は、単に買い物をメモするだけのものではないよね? 買ったものをキチンと書くことで、いつどんな行動をしたのかが明確になるんだよ。そして、その日常の行動から自分でも気付かなかったような「無駄を生み出す行動」を見つけ出すことが大きな意義でもあるんだ。
例えば、『家計ノート』においては、「レシート1枚につき1行」を書くだけで終わりだけれど、そのようにシンプル化することで、1週間のページを見返した時に「自分の1週間の行動」が簡潔にまとまっていて、手に取るように見えてくるんだよ。その結果、「自分はいかに外食が多いのか」「自分はいかに買い物の頻度が多いのか」などの様々な自分の行動が見えてくるんだ。
このように、家計管理の効果を最大限に引き出すためには、「少し立ち止まって考える行動」が必要不可欠になるんだよ。つまり、アプリで家計管理をするのは極めてラクだけれど、見返して考えるようになっていないので、単なる自己満足で終わる場合がほとんどなんだ。そのため、『家計ノート』のように、「レシート1枚につき1行」だけでも自分の手を使って書いて、1日の行動を3分の間に思い浮かべる習慣が非常に重要になるんだよ。
そして、1週間がたったら、見開きのページが埋まるから、自然と1週間の振り返りができて、パッと見て一目で気付くことがたくさん出てきたりするんだ。この繰り返しをすることで、どんどん家計の無駄が見えてきて「日々成長していける」のが、手書きの家計簿の大きな意味合いとしてあるんだよ。
つまり、子供時代からの「勉強」と同じで、手で書いて身体全体で認識することが重要なんだ。家計管理はラクをしようとし過ぎると、逆に何の効果も得られなくなるのが現実なんだよ。