子世代に頼らないために公的制度の活用を
逆に、ひとりになった親の側に経済的な不安がある場合はどうか。ファイナンシャルプランナーの小谷晴美氏はこう話す。
「一般論として子世代のほうが経済的に大変なことが多い。子育ての負担があるし、給料は昔のように年功序列では上がりませんから。親世代が援助を期待すると、いい結果にならない。私が知る例でも、夫に先立たれた後、浪費癖が抜けなかった女性が息子にお金の無心を続けた結果、息子の夫婦仲が壊れて離婚に至ったケースがあります」
そうした事態を避けるには、「妻に任せきりだった家計管理に取り組んで身の丈に応じた生活を心掛けたり、できるだけ長く働いて収入を確保したりする意識が重要」(同前)になるという。
また、医療や介護の負担で子世代に頼らないためには、「公的制度」の活用が重要だ。小谷氏への取材をもとに別掲表に主なものをまとめた。
「『高額療養費制度』などは、手続きが昔よりも簡単になったので、若い世代の手を借りなくても十分にできます。逆に、収入がある現役世代の子供を頼って扶養に入れてもらったりすると、自己負担上限額が高くなってしまうこともあるので注意が必要です」(同前)
※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号