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「相続トラブル」は財産の過多と相関するわけではない 影響しやすいのは相続人の数や関係性、不動産も火種になりがち

お金持ちの家庭でもないのに「相続トラブル」が起こるのはなぜか(イメージ)

お金持ちの家庭でもないのに「相続トラブル」が起こるのはなぜか(イメージ)

 多くの人が老後資金のために節約や資産運用などのやりくりで苦労しているが、何とかそれができた場合、残ったお金は子供や孫が受け継ぐことになる。もし、あなたが老後資金に一抹の不安を抱えているような「ごく普通の家庭」なら、とりわけ相続トラブルに注意すべき。「相続はお金持ちの家庭だけの問題」と思ったら大間違いだからだ。

 司法統計によると、遺産分割トラブルの約43%が財産総額5000万円以下、約33%が財産総額1000万円以下の家庭で起きているのだ。「財産が少なく、相続税を払うのに苦労した」というわけでもない。そもそも財産総額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えなければ相続税は非課税になるため、日本の家庭のほとんどが非課税で相続手続きを終えることができる。

 それなのになぜ、相続トラブルが後を絶たないのか──ベリーベスト法律事務所の弁護士・的場理依さんが言う。

「相続税の有無や財産総額の過多とトラブルの起こりやすさとの間に、相関関係はないと感じます。

 それよりも、相続人の数や関係性の方が影響します。人数が多かったり、きょうだい仲が悪いと話し合えない場合もあるほか、誰か一人でも連絡のつかない相続人がいると、遺産分割協議そのものが難しくなります」

トラブルの火種になりやすい不動産

 加えて大切なのは、財産の内訳だ。特にトラブルの“火種”になりやすいのは自宅や土地などの不動産。お金に換算するのが難しく分けにくいうえ「生まれ育った家」「先祖代々の土地」など、相続人おのおのに強い思い入れがある場合も少なくない。

「自宅以外の財産がない場合や、複数人の共有名義になっていたり、地方にある古くて処分しにくい不動産だったりすると、トラブルはより起きやすくなります。

 また、父が亡くなったときに長男が自宅を相続し、その後母が亡くなったときに次男が“自分は家をもらえなかったから、お母さんの財産はすべて相続したい”と主張してトラブルになることもある」(的場さん・以下同)

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