中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

若き日に強引に契約させられた「お宝保険」に感謝する50歳男性 「今見ると返戻率にぶったまげた!」

若かりし日に入った保険証書

若かりし日に入った保険証書

「ハーゲンダッツ貰っちゃったのに断るの?」

 さて、私が「お宝保険」に加入した経緯について説明しましょう。どこの会社でも新入社員というものは保険の外交レディの格好のターゲットとなります。外交レディをやっていて、その甥っ子や姪っ子が大企業に入ろうものなら、「アンタの同期を紹介しなさい!」なんて声をかけ、断りきれずに同期の新入社員たちが次々と営業の対象となるんです。そしてそれは親戚に限った話ではありません。

 私の場合は、同じ部署のX先輩からこんな言葉をかけられました。

「おい、中川、オレの彼女が保険の外交員やってるから、明日の午後、空けておいて。ラウンジで個人年金の説明を聞いてくれ。オレも加入している年金だ。オレも一緒に行く」

 翌日、やってきたのは小柄な女性で、X先輩と同じ年齢とのこと。いきなり6カップ入りのハーゲンダッツを渡されました。保冷剤も入っています。彼女の説明は聞きつつも、「どうせ年金保険なんて、浪費癖がある人に強制的に貯金させるようなものでしょ?」と解釈していたため、自分には不要だと断ろうとしました。

 するとX先輩は「ハーゲンダッツ貰っちゃったのに断るの?」と言う。彼女も「よろしくお願いします!」と頭を下げた。畳みかけるように「保冷剤ももうすぐ溶けるので、早く部署の冷凍庫に入れた方がいいですよ!」。こうなったら入るしかないじゃないですか!

 かくして24歳の誕生月から毎月1万1260円の保険料を60歳までの36年間(432ヶ月)支払うことになりました。その後、私は2001年、わずか4年で会社を辞めるのですが、2010年頃、X先輩と飲む機会がありました。我々は30代後半です。

「中川、あの年金、まだ入ってる?」
「はい、毎月1万1260円ぐらいなら厳しくないので、そのままです」
「それは良かった。今の時代、あんな個人年金はあり得ない。オレ達はいい時に加入したからとにかく60歳まで解約するなよ」
「はい、わかりました!」

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