「生保会社がいちばん売りたい商品は、生保社員がいちばん入りたくない商品」──ブラックジョークみたいな話だが、実は的を射ている。生命保険のカラクリを知れば、保険会社が儲かる商品ほど、加入者が損をするのは自明なのだ。
そこで、保険の表も裏も知り尽くした「匿名の生保社員200人」に「入りたくない死亡保険」をアンケートした。保険のデメリットを充分熟知した生命保険会社社員たちが「入りたくない」という商品は何か。
「入りたくない」保険として2位と倍近くの差をつけて1位にランクインしたのは、外資系の保険会社が主力商品とする「外貨建て」の保険だ。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんがその理由を分析する。
「受け取る際に円安か円高によってもらえる額に変動があり、結局いくらになるかわからないという不安定さがあります。手数料が高いというのと仕組みが複雑だというところも避ける理由でしょう」
回答者の中には、「同じ投機性のある商品なら株や投資信託を買う」と答えた人もいた。
「私たちもこういった商品を売る時に、『将来、増える可能性があります』『資産形成の一環として』とすすめますが、同じような商品であれば投資を専門にやっている証券会社の方が詳しいうえに、商品の幅が広い。実際、同僚でもお客さんに外貨建てをすすめながら、自分は別の投資信託にあずけているという人は確かにいる」(59才男性)