プーチン大統領の北京訪問の成果
今回のプーチン大統領北京訪問は外交面でも大きな成果があった。まず、到着した時点から、経済貿易を担当する商務部の王文涛部長(大臣に相当)が直々に専用機のタラップ下で出迎えるなど、破格の待遇で接待している。習近平国家主席のほか、ロシアと関係の近いモンゴルやカザフスタン、ウズベキスタンに加え、ベトナム、タイ、ラオスといったASEAN諸国や、ハンガリー、パキスタンなど、一帯一路会議に招待された国の要人たちとの間で、密室会談を行っている。世界のエネルギー供給や人民元の国際化などに関して、米国同盟国にとって望ましくない話がなされていないか気になるところだ。
万が一の場合に備え、核発射ボタンが入っていると思われるアタッシェケースをお付きの者に持たせるプーチンの姿がマスコミを通じて世界に公開されている。経済面では確かに中国に劣後しようが、軍事力では依然としてロシアは強国だ。
中国・ロシア両国の緊密化は、双方にとって、政治的、軍事的、経済的に大きなメリットがあり、合理性がある。米国同盟国によるロシアへの経済制裁、米国による対中強硬策は、意図とは逆に彼らの勢力を強化しているようにみえるがどうだろうか。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。