中国では不動産不況が囁かれているが、そうしたなかでも、北京市一等地の物件には驚愕の値段がついているようだ。
北京東城区南池子大街にある四号院(伝統的な様式の住宅)を1億8000万元(36億9000万円、1元=20.5円で計算、以下同様)で売り出すといった高級物件を扱う仲介業者(小紅書)によるSNS上の書き込みが、市場関係者の注目を集めている(参考:界面新聞、10月14日付)。
この物件は、1600年代の清朝時代に活躍した著名な軍事家の豪邸跡地にあり、周囲に視線を遮る高層建築がない。邸宅から故宮が見えるなど、立地は確かに素晴らしい。とはいえ、居住空間は少し古びた3階建ての近代建築物に過ぎず、建築面積は530平米ほど。
別の仲介業者(安居客)のSNS上でも、このあたりの物件情報が掲載されている。全部で9件あるが、最高額は1億5600万元(31億9800万円)で最低額は2999万元(6億1480万円)。1平米あたりの単価は13.4(275万円)~17.8(365万円)万元だ。
ただ、買い手はなかなか現れないそうだ。需要が弱い中、売り手が価格を下げず、取引が成立しないといった状況が続いている。これは高級物件に限ったことではなく、中古住宅市場全般で同様な傾向がみられるようだ。
要するに価格による需給調整メカニズムが働いていないわけだが、その最大の理由は中国では固定資産税、都市計画税など、物件を所有することによる税金が一切かからないからではなかろうか。物件所有にコストがかかれば、供給量は増え、投機需要は抑えられるはずだ。