【3】陸運業:業績は安定しているが劇的な成長要因が見つからない
陸運業の株価下落も目立っている。陸運業はJR各社を筆頭に京成電鉄、名古屋鉄道、相鉄ホールディングスなど好決算銘柄が多くあるにもかかわらず、最近は株価下落が激しくなっている。前述した小売業と同様、今年の上半期にはコロナ禍明けの人流回復やインバウンドの回復、また企業の出張増加などで業績が飛躍し株価も上昇してきていたが、それらが織り込まれてきた今、株価の低迷状態が続いている。特に企業の出張の伸びしろに対する懸念は、今後の株価には付きまとってくるだろう。
そのような中、10月18日、京成電鉄の株価が前日比+7.8%と急反発した。京成電鉄の株式の1.6%を所有する英投資ファンドのパリサー・キャピタルが、京成電鉄に対し、保有するオリエンタルランド株の一部売却を求めていることが報じられ、売却による利益の上振れを期待した買いが集まったようだ。
陸運業各社は、業績の安定は見込まれているが、今後の劇的な業績の成長要因を見つけることは難しい。しかし、京成電鉄のように、保有資産がリッチな企業も多く、株主要求などによる資産売却期待などのニュースが出れば、株価上昇要因になる可能性は大いにある。
もの言う株主(アクティビストファンド)の動きに注目したり、資産売却のニュースを捉えたりすることで、株価上昇の初動のチャンスを手に入れられる可能性は高まるのではないか。
【プロフィール】
古賀真人(こが・まさと)/個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber。1978年、埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote「カブアカマガジン」(https://note.com/masatokoga)を日々更新中。